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第81部・目を健やかに

(2459)網膜剥離 墨汁垂らしたような視界に 加齢と近眼に注意
北國新聞(朝刊)2020年06月14日付

網膜剥離を起こした目の画像を示す奥田助教。網膜の周辺部に亀裂が生じている=金大附属病院
 「網膜剥離」と聞くと、何を思い出すだろうか。スポーツ好きなら、ボクシング選手の引退原因となる目の病気として思い浮かべる人が多いかもしれない。だが、実際には外傷性よりも、加齢に伴って発症することが多い。

 金沢市内に住む50代の男性の話である。ある朝、ベッドから起き上がった男性は、左目の違和感に気付いた。

 「何か視界が暗くなったようだ。年で眼鏡が合わなくなってきたのかな」。痛みがないため、しばらく様子を見ることにした。

 仕事が忙しく、疲れが原因だろうと勝手に思い込んでいたが、休んでも症状は良くならない。むしろ、視界の一部が墨汁を垂らしたように暗く、見えにくくなってきた。

 「車が欠かせない生活だけに、もし事故を起こしたら、大変だ」。思い切って、近くの眼科医院を訪ねた。

 医師から告げられたのは、網膜剥離である。「強くぶつけた記憶はないのに。ひょっとして失明するのか」

 不安げな男性に医師は伝えた。「大丈夫です。手術を受ければ、よくなりますよ」

1度の手術で治癒

 視界が暗くなったり、視野が欠けたりする網膜剥離はおよそ1万人に1人が発症すると推計されている。単純計算では石川県内では約110人の患者がいることになり、実際、金大附属病院でも、毎年100人前後の患者の治療に当たっている。

 同病院眼科の奥田徹彦助教は「数字を聞くと、少ないように感じるかもしれませんが、年齢を重ねれば、誰にでも起こり得る目の病気です。特に近視の人は注意してほしい」と呼び掛ける。

 目は幾つもの組織で構成されており、中でも網膜は角膜、水晶体を経て入ってきた光を感じ取っている。その光の情報は網膜で、電気信号に変換され、視神経を経て脳に伝わり映像となる。

 その網膜より内側は99%が水でできた「硝子体」で満たされているが、年を取ると、硝子体は網膜から離れてしまう。後部硝子体剥離と呼ばれるこの現象は、年齢を重ねることで、誰にでも起こる。

 奥田助教は「この現象だけなら問題はない。しかし、このときに網膜に裂け目が生じると、そこから網膜剥離が起こる。特に近視の人は網膜の周辺部に変性と呼ばれる弱い部分を持つことが多く、網膜剥離が起きやすい」と語る。

 このような網膜剥離の治療では、硝子体手術によって、はがれた網膜をもう一度くっつける。ほとんどの患者が1度の手術で治癒し、視力は回復するが、奥田助教は「黄斑と呼ばれる、網膜の中心部まで剥離が進んでいると、視力は回復してもゆがんで見える感じが残る場合が多い」として、早期発見を呼び掛ける。

若年層も発症

 初期の段階では無症状だが、網膜剥離は自然治癒しないため、視界が暗くなったり、視野が欠けたりするのがどんどん進行していく。一刻も早く受診する必要がある。

 「残念ながら明確な予防策がない病気で、中高年に多いが、若い人でも起きます」と奥田助教。自分には無縁の病気と思い込まず、視野の変化に敏感でありたい。




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