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第82部・口は災いのもと

(2483)全身へ飛び火(中) 歯周病放置で糖尿病悪化 高血糖を招く「負の循環」
北國新聞(朝刊)2020年09月06日付

 口の中のトラブルが全身に飛び火する代表的な例として、歯周病と糖尿病の困ったつながりについて知っておく必要があるだろう。

 金沢市内に住む50代男性のケースをみていきたい。7、8年前に糖尿病と診断された当初、男性に自覚症状はあまりなく、医師からもバランスの取れた食事と適度な運動を心がけるよう助言される程度だった。

歯茎に痛みが

 しかしながら、男性は生活習慣をなかなか改善できずにいた。無精な性格は口の中にも及んでおり、虫歯が痛み出したら歯科医院で治療を受け、また無頓着な食生活を繰り返す。そのうち歯茎にまで痛みが現れ、思うように食べ物をかめなくなってしまった。

 「まあ、また歯医者で治してもらおう」。安易に考えて受診した男性に、歯科医はキッパリと告げた。「重度の歯周病です。このままだと糖尿病も悪化しますよ」

 思わぬ通告だったが、男性は身に覚えがあった。会社の健康診断で糖尿病の状態があまり良くない、と「イエローカード」を突き付けられていたのである。

 歯周病は、糖尿病の合併症に位置付けられることもあるように、本来はワンセットで警戒が必要な病気だ。ようやく事の重大さを理解した男性は、生活習慣の改善と歯科治療を並行して進めていくことを歯科医に約束した。

 金大附属病院歯科口腔(こうくう)外科の加藤広禄准教授が「歯周病と糖尿病の関係は深く、しかも負のサイクルを起こす恐れがある」と警鐘を鳴らすように、この二つの病気は互いを増悪させる点が怖い。

 歯周病は、いかにして糖尿病を悪化させるのか。歯周病菌によって歯茎の炎症がひどくなると、「TNF−α」という物質が出てくる。この物質は血流に乗って口から全身に広がり、血糖値を下げるために膵臓(すいぞう)が分泌する「インスリン」の働きを邪魔する。すると細胞が糖を取り込めなくなって、血液中に糖があふれ、血糖値の高い状態が続いてしまうのである。

 一方で、糖尿尿は免疫機能の低下をもたらし、歯周病菌が悪さをしやすい環境をつくり出す。また、糖尿病の症状の一つに口の渇きがあり、抗菌作用を持つ唾液がちゃんと分泌されないと、さらに歯周病菌の繁殖を許してしまうことになる。

好循環に「逆転」も

 とめどない悪循環に思えるが、希望もある。加藤准教授は「反対に言えば、歯科治療によって糖尿病を改善できるとも考えられる。実際、そういう報告例はあります」と力説する。

 まず糖尿病患者がすべきことは、歯周病菌の温床になる歯石を歯科医院で定期的に除去すること。そして、日々の口腔ケアを徹底し、歯石のもとになる歯垢をためないことである。

 「難しいことは何もありません。人間ドックに行くつもりで、歯のドック、つまり歯科医院に通えばいいんです」と加藤准教授。糖尿病治療も、まずは歯磨きから。小さな「歯車」を一つ逆回転させるだけで、悪循環が好循環にクルリと変わる可能性もあるのだ。



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