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「再生医療で変わる未来」金沢医科大学プログラム
2017/10/22 北國新聞 朝刊

 北國健康生きがい支援事業の金沢医科大プログラム(同大、北國新聞社主催)は10月21日、「再生医療で変わる未来」をテーマに、金沢市の北國新聞20階ホールで開かれた。日本再生医療学会理事長で、大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科学)が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って重い心臓病を治療する世界初の臨床研究を紹介し、数年以内の実用化へ意欲を示した。
 澤教授の研究グループは2018年前半に臨床研究を開始する計画で、虚血性心筋症患者の心臓に、iPS細胞から作った心筋細胞シートを貼り付けて移植する。これまで患者の脚の筋肉細胞を培養したシートを使っており、iPS細胞を使えばより高い効果が期待できる。
 澤教授は特別講演で、厚さ約0・1ミリ、直径約5センチの心筋細胞のシートがぴくぴくと動く映像を紹介し、「勝手に飛んでいきそうなくらいのパワーを再現することができた」と自信をのぞかせた。会場にも拍動するシートが展示され、来場者の目を引いた。
 澤教授は「心筋再生はこの数年以内にiPS細胞を使ったシートで治したい」と述べ、5〜10年後にはより厚みのある心筋組織の再生も可能になると見込んだ。さらに革新的な発見や技術の進歩により、「心臓そのものを作る『バイオ心臓』を移植する時代がくるかもしれない」と見通した。
 特別講演に先立ち、金沢医科大総合医学研究所の石垣靖人教授が昨年2月に完成した同大再生医療センターの取り組みを説明し、「学内外と連携し、新たな治療の開発を心掛けている」と強調した。
 医学部再生医療学の下平滋隆教授は「身近な再生医療の提供に向けて」と題して講演し、軟骨などに変化する脂肪幹細胞を患者自身から採取して膝に注入する臨床試験を年度内に始めることを紹介した。



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