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胃を切除「人生が変わる」 肥満治療の最前線を紹介 北國健康生きがい支援事業・金大プログラム
2019/02/24 北國新聞 朝刊

 北國健康生きがい支援事業の金大プログラム(金大、北國新聞社主催)は23日、金沢市の北國新聞20階ホールで開かれた。同大附属病院内分泌・総合外科長の森山秀樹臨床准教授と、内分泌・代謝内科の竹下有美枝助教が「肥満症治療の最前線」をテーマに解説した。森山氏は北陸三県で初めて保険適用で可能になった腹腔鏡(ふくくうきょう)で胃を切除する手術の有効性を示し、「患者さんの人生が変わる可能性がある」と期待した。

 森山氏が紹介したのは「腹腔鏡下スリーブ(袖)状胃切除術」で、昨年4〜11月に40〜63歳の男女5人に施術した。5人とも20キロ以上やせてリバウンドはなく、「後ろ姿では誰か分からないほどスリムになった人もいる」と強調した。
 胃を切除すると食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌が減り、その後の食事制限は無理なく続けられるという。リバウンドしにくい状態をつくれるため、「手術はダイエットを助けてくれる」と話した。
 手術の映像も流し、体内に挿入した器具で内臓脂肪をよけ、胃の大部分を挟んで切除する様子を示した。モニターを見ながら体内の器具を操作するため「奥行きを感じられないのが難しい」と実感を込めた。
 竹下氏は肥満をもたらす生活習慣の一つに「早食い」を挙げ、「食事のスピードが速い人ほどBMIが高い傾向がある」と説明した。肥満症の治療は食事・運動療法が基本になるとし、「脂肪摂取を控えるには、サラダのドレッシングをノンオイルにするといった工夫が必要」と助言した。
 胃切除手術は術後に食事指導や筋力トレーニングを受けることで、筋肉を残しながら脂肪を落とせると指摘し「健康的にやせられる」と話した。手術はスタートラインに立った状態と表現し、「多職種でサポートし、肥満症の患者さんに明るい未来が来るよう助けたい」と結んだ。

★〔腹腔鏡下スリーブ(袖)状胃切除術〕
 胃が袖のような形になることに由来する。胃の80%を切除し、容量を100ミリリットル程度に縮小する。条件は▽内科治療で効果を得られず、糖尿病と高血圧、脂質異常症、肝機能障害、睡眠時無呼吸症候群のいずれかが見られる▽年齢18〜65歳▽原発性の肥満▽体格指数(BMI)35以上の高度肥満−の4点である。



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