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講演会
「長寿県いしかわを目指して」〜21世紀の健康と医療〜

  北國健康生きがい支援事業の第1回北陸大学プログラム「『長寿県いしかわを目指して』〜21世紀の健康と医療〜」(同大、北國新聞社主催)は11月1日、金沢市文化ホールで開かれました。同大薬学部の竹内正義教授は、糖分の取り過ぎによって体内で生成される悪玉物質“AGEs”が糖尿病などの生活習慣病の原因であると説明し、清涼飲料水をはじめ甘い物には十分注意するよう呼びかけました。

【主催】 北陸大学、北國新聞社
【後援】 石川県、石川県医師会、金沢市医師会、石川県歯科医師会、石川県薬剤師会、石川県栄養士会、石川県看護協会

 
病食の常識に潜むワナ
知らないと怖い!身近にある飲食物

講師:竹内正義(たけうち・まさよし)氏
北陸大学薬学部教授
プロフィル/富山県出身、1982(昭和57)年、北陸大学大学院修了、1988(昭和63)年、富山医科薬科大学で薬学博士号取得。専門は、病態生理(特に糖尿病)学。富士薬品工業主任研究員、北陸大学薬学部講師などを経て、2004(平成16)年に同大学薬学部病態生理化学教授。

清涼飲料水の飲み過ぎに注意

健康年齢の大敵とは

 日本は平均寿命世界一の長寿国です。しかし、せっかくの長寿も、病気になってしまっては人生を楽しめません。そこで、最近では平均寿命よりも「健康年齢」が重視されています。この言葉は介助を受けずに生活できる年齢のことを指し、健康年齢が寿命に近づくほど、最後まで充実した人生を送ることができるのです。
 この健康年齢にとって大敵なのが糖尿病などの生活習慣病で、近年、急増しているのが心配です。厚生労働省の調査によると、二〇〇六(平成十八)年の糖尿病患者は八百二十万人、予備軍は千五十万人を数えます。実に、成人の五・六人に一人が糖尿病もしくは予備軍となっています。
 この背景には、飽食の時代を迎えカロリーを過剰に摂取する傾向が挙げられます。人類は誕生以来、常に飢餓と戦いながら生き延びてきました。体内には、少ないエネルギー摂取でも活動できるよう、血糖値を上げるホルモンが多く存在する一方、血糖値を下げるホルモンはインスリン一つしかありません。このため、エネルギーを余分に取ると血糖値が急激に上がり、高止まり状態が続くのです。

元凶は悪玉AGEs

 糖尿病の原因となるブドウ糖ですが、人間が生きるために欠かせない栄養でもあります。とりわけ脳にとっては唯一のエネルギー源で、血液中のブドウ糖が不足すると意識を失うことさえあります。逆に、ブドウ糖が濃い高血糖状態が続くと、血液中のブドウ糖は体を構成するタンパク質を劣化させ、AGEs(終末糖化産物=図)という物質に化学変化します。
 そして、AGEsの研究を進めるうち、その一種であるAGE2が毒性を持ち、糖尿病合併症の原因となる悪玉AGEsの正体であることが分かりました。さらに、AGE2は認知症やがん、高血圧、非アルコール性脂肪性肝炎の原因物質であることも突き止められ、近年では不妊症との関連も疑われています。

「砂糖ゼロ」に要注意

 AGEsは体内で生成されるばかりか、食品にも含まれているので用心してほしいと思います。最も注意したいのは、糖を多量に含む清涼飲料水です。水に溶けた糖は吸収されやすく、短時間で血糖値が上がり、のどが渇きます。この時、さらに清涼飲料を飲む悪循環を繰り返して急性の糖尿病になり、昏睡状態になる危険さえあります。
 また、健康増進法が制定され、糖質を含んでいても砂糖を使っていなければ「砂糖ゼロ」、百ミリリットルあたり二十キロカロリー以下であれば「カロリーオフ」と表示できるようになりました。それに安心して大量に摂取すると、やはり高血糖状態となります。

正しい食習慣、食生活を

 食品をバランス良く食べることも重要です。ダイエットのために野菜や果物ばかり食べる方がいますが、これも良くありません。野菜や果物に多く含まれる果糖は、インスリンの作用を低下させる上に、体内では悪玉AGEsに変化しやすい糖だからです。
 特に、野菜や果物のジュースでは濃縮した果糖が使われているので注意すべきです。これに対し、繊維質を多く含むキノコ類や海藻などは、AGEsを吸着する性質を持っているのでお勧めです。
 朝食を抜く習慣も良くありません。空腹時間が長引くと食後の糖質吸収が増進し、通常に比べて食後の血糖値が急激に上昇するからです。現代は、自分の体と健康を自分で管理する時代です。健康を維持するために、自分の食習慣を見つめ直し、正しい食生活を心掛けてください。



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